臆病でいてごめん……と謝られた。

先輩の手の温もりを確かめて、ぎゅっと目を瞑った。




「……預けます。何もかも」


体を委ねて誓う。

だから、先輩。

これを『運命の恋』だと思わせて。




「なつみ」


私を初めて名前で呼んでくれた人。
これからも貴方が側にいれば怖くない。


「かなた……(せんぱい)」


いつまでも私の上を行く人。
声では呼び捨てても、心の中では先輩と呼び続けていくから。


擦り寄った前髪どうしを重ね合わせて唇が近づく。

ゆっくりと触れ合った後、求め合うように吸い寄せられた。



「可愛い……なつみ……」



何度も言われながら寄せられるキスの嵐に、心の中が晴れ渡っていく。


死期も婚期も考えずにいられる今が何より一番愛おしいと思ったーーー。