これを『運命の恋』と呼ばないで!

カタッと立ち上がった先輩にビクついた。

デスクを回り込んで近付いてくる足音に妙に心音が速まっていく。



私の目の前で立ち止まった。

上から降り注いでくる視線に、オドオドと怖気付く。

近過ぎる距離にも戸惑い、じぃっと見つめ返してしまった。




「若山……」


勿体ぶったように名前を呼ばれた。


「は、はいっ!」


緊張のあまり、大きな声を出してしまう。


オフィスの一室で先輩とツーショット。
見つめ合った後に放たれた言葉は………




「俺が結婚しようって言ったらお前はどうする?」


ドクン…と心臓が震えた。
どうする?と聞かれても、直ぐには答えようもなくて。



「あ……あの……」


いきなりで生汗が噴き出る。
プロポーズされるって、こんな感じに鳥肌が立つんだ。



「今、どんな気分だ?」


先輩の声に我に戻る。


「どんな…って、いきなり過ぎて戸惑うとしか……」


オロオロしてる。
まるで、死期が近いと言われた時みたいに。


「それと同じこと、お前は俺にしたぞ」


そう言われてハッとした。



「あ……」


ぐうの音も出せない。
確かにそうだ。


「あの時はいきなり過ぎて驚いたけど、今ならお前の気持ちも分かる。死期が近づいてると言われたら焦るよな。実際、俺も今かなり焦ってる」

「先輩が?」


何故?どうして。