いつも間違えてる表計算のやり方を教えてくれた。


「あっ、ホント。なんだ、バカみたいに簡単」


今まで私は何をしてきたんだろう。
こんな事ならもっと早くに聞けば良かった。


「ありがとうございます。汐見先輩」


ニッコリ笑ってお礼を言った。
汐見先輩は「いつでもどうぞ」とスマイルを見せ、自分の仕事に戻っていった。

青空先輩がいなくなっても、汐見先輩がいれば仕事はどうにかなりそうな気がする。
ニガテなことは後回しにせず、これからはどんどん聞いていく様にしよう。


(ふふん。どうだ、青空先輩)


チラッと目線を前に向けた。
パソコン画面に向いてる人の目は、どう見ても私のことなんて見てない。


汐見先輩の気のせい。
それ以外にはあり得ない。


(あーあ、それでもやっぱり残念だな……)


叶う筈も実る筈もない永遠の片思い。

この思いを抱いたまま、先輩は遠い空の彼方へ行き、私はそれよりも遥か遠い所へ逝く。


(考えるの止そう。今を大事するって決めたし)


昨夜は肩の力が抜けたお陰で良く眠った。
そのせいもあって、ミスもせずに午前中の仕事は済んだ。



12時になり休憩の時間になった。
でも、青空先輩はデスクから離れず仕事をし続けている。



(お昼ご飯食べないのかな)


何となく気にかかる。
先輩がご飯を食べに行かないなんて、スゴく珍しいことだ。