たくのお父さんは地方離れで単身赴任している。
原因は分からないけど体調を崩して
倒れた と言った。
そしてたくの家族は 地方の方に行った。
最初は 2、3日で戻れるものだと思った。
連絡は必ずするって言った。
なのに、1週間たっても 2週間たっても
会うことはできなかった。
何度、連絡をしたことだろう。
何度、電話をしたかな。
それでも出なくって。
メールもしたのに。
返ってくることはなくって。
お父さん そんなに悪いのかな。
けど、だけど。
会いたいよ。
何も 繋がらない。
そう思った瞬間 雫が頬を通った。
たくが今 何を思ってるのか 分からなくて。
何も繋がるものが もう なくって。
たくの 言葉もずっと 聞いてない。
いつもケータイから聞こえるのは
「お留守番サービスに接続します……PPP」
機械的な声だけだった。
たくとするために 買ったケータイも。
全然うれしい物ではなかった。
ベッドの上で 明日 女子高生になる私は
ひとり、 泣いた。
