玲奈から電話を受けた、数日後

美雪の自宅から程近い斎場で、美雪の葬儀は行われた。



告別式には、私や来未の他に、桐子さんや晶子さん、白砂中の生徒や教師なども参列したが、そこに、悠里や玲奈の姿は無く


焼香に並び、美雪のご両親に一礼をする際、衰弱し、生気の無い美雪のご両親の顔を見るのが辛く、私は視線を下げ

足枷でも嵌められたかの様に、重い足取りで美雪の遺影の前に立つと


遺影の中で笑う美雪と目が合い、なんとなく、両手を合わせる事が出来ず

力無く、その場に腰を降ろした。










「……。」









ボーッとする意識の中

抹香をつまみ、ゆっくりと香炉へ落としていると、私はなぜ、美雪が見守る前で、こんな事をしているのだろうと、右手の指から雪崩落ちる抹香を見つめながら、涙が溢れ出し

頬を辿るその涙は、正座をする私が着る黒い喪服へと、静かに吸い込まれていった。











「…なにやってんだよ、お前……」