溺れる恋は藁をも掴む

　私に後ろめたい気持ちからなのか……

　たまに、誠治さんのメールが届く。

　以前のような、楽しみに出来る文面はどこにも見当たらない。


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　今日は寒かったね。
風邪なんか引かないようにね。


　今日も寒いね。
忘年会シーズン到来だね。

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　ニュースを読むアナウンサーが、最初に交わす挨拶みたいな差し障りのない文章。


　心ない文章は、メールでも敏感に感じちゃうもんなんだて………

　分かっていても、その気持ちに蓋をしていた。


　

　

　誠治さんからの、最後のプレゼントは、あなたの正直な気持ちだった。

　メールで素っ気なさを見せながらも、クリスマスに予定を空けてくれていた誠治さん。

　私の誕生日がクリスマスなのは覚えてくれていたのね……

　お洒落をして、会社帰りに、待ち合わせの店に向かった。