シャワーを浴び終えた誠治さんは、私の隣に座った。


 ビールの缶を開けてコップに注ぐ。

 私達は、乾杯をして飲み始めた。


 誠治さんはビールを美味しそうに飲む。

 「誠治さんがビールを美味しく感じたのはいつ?」

 「えっ、いつだろ?
分からないうちに好きになっていた。
それだけ歳をとったってことかな?」

 誠治さんは笑いながらこたえた。

 「水族園は行ったから、今度は何処に行こうか?」

 「どこにしましょう?」

 未来がある会話が私を安心させる。

 「来月は師走か‥‥」

 「一年って早いですね。
冬休みは実家に帰るんですよね?」


 ーーそんな短い一年の中であなたと出会えたーー


 「うん、年に一度くらいは顔を見せてるからね。
年末年始は帰る予定なんだ。
‥‥‥ならさ、クリスマスは一緒に過ごそうか?」

 「うんうん!!
実はクリスマスが誕生日なんです」

 「へぇー
じゃあ、華ちゃんの誕生日は盛大に祝おう!
プレゼントは何がいい?」

 「いらないですよ!
もう貰いましたから。
大好きな空色のマフラー」

 「あれはあれだよ!
誕生日は別だよ」

 「なら、クリスマスは一緒に居て下さい」


 どんなプレゼントよりも、あなたと一緒に居ることが、何よりのプレゼント。


 「分かったよ。
そんな、欲のない華ちゃんが好きだよ」

 誠治さんは私を抱き寄せて呟く。


 唇は再び重なり合った。




 高望みなんてしないよ…
こういう時間が幸せだと思うから。



 あなたが居ればそれでいい………