溺れる恋は藁をも掴む

 「私、この映画の小説読んだんです。
中谷宗馬が書いた《薔薇の咲く肌》っていうんです」

 「へぇー。
中谷宗馬は知ってるけど、読んだ事はないな……」

 「中谷宗馬には珍しいほど、一途な女の恋の物語なんですよ!
夢中でページを捲りました。
ほら、今、画面に映っている女優の岬エリカは、この映画で大抜擢されたんです。
綺麗ですよね……」

 「あっ…!!
エステCMで見たな」

 「大胆に綺麗な肌を晒せる女優は、彼女しか居ないって、この映画の監督も言ってます。
本当に綺麗な人ですね」

 「うん。
確かに綺麗だね」

 「少し影があるところも、また魅力的なんですよね!」

 「うん」

 「この映画観たいなって思ってたんです。
小説にも凄く惹かれたし、岬エリカも好きなんですよー」

 「へぇー
俺はあんまり小説は読まないけど、映画は好きだよ!
華ちゃん、良かったら今度一緒に観ようか?」

 「えっ!!」

 「華ちゃんが熱心に話すから、きっと面白い映画なんだろうなって思ってさ……
あっ、行く人決まってるんなら気にしないで」

 「決まってません!!
是非、一緒に行って下さい!!」

 直ぐに私は答えていた。
 ーーチャンスは、生かすもんでしょ!!ーー



 大画面のスクリーン有難う!!
中谷宗馬有難う!!
岬エリカ有難う!!

 ーーこのタイミングに有難う!!ーー



 嬉しい!!

 またデート出来そうだ!!

 ヤッター!!