溺れる恋は藁をも掴む

 新宿の街を歩きながら、誠治さんに尋ねた。

 「妹さんの誕生日プレゼントに何か候補ありますか?
予算はどれくらいで考えてます?」

 「うーん……
予算は1万くらいかな?
あんまり贅沢なものを送って、甘やかしてもダメだよね……?
 入学祝いに時計を買ってあげたんだけど、遠慮もないから、3万くらいなものねだられたんだよ……
 16歳の女の子に相応しいものがいいな?
華ちゃん、何かある?」


 時計はあげちゃったのね……

 これから秋も深まるし、お洒落な洋服を提案しょうかな?


 「新宿は若い子に人気の街ですから、ブラブラしながら、コレだ!ってものが見つかるかもしれないですよ!!

 わりと、16歳くらい頃って、ファッション雑誌なんか買ったりして、モデルが着てるものを真似したい年頃かも?」

 「華ちゃんもそうだった?」

 「ええ………
 でも、可愛いより体形に合うもの探すのが大変でした」

 言わなきゃ良かった……
可愛いもの好きでも、この体形が邪魔してお洒落には無縁だったなんてこと……


 「今日の服、華ちゃんに似合ってますよ!
OLさんの休日は、可愛い女の子に変身するんだなって思った」



 えっ!
 褒められた?
 嬉しいー!!

 「有難う御座います!
じゃあ、妹さんには、もっと可愛いもの探しましょ!」


 普通の体形の子なら、いくらでも可愛い洋服は見つかる。

 それに可愛いがプラスされたら、言うことなしでなんですよ…


 「華ちゃんのセンスに任せよう!」

 誠治さんは私の隣を歩く。
ドキドキと嬉しさが交互する。


 新宿の街は人混みだらけ!
すれ違うカップルも、みんな笑顔で休日を楽しむ。




 ごみごみとした雑踏の中を歩いているだけでも、恋愛ドラマのヒロインのような気持ちにもなれた。