溺れる恋は藁をも掴む

 二人の共通の話題でもある、この間の合コンの話にもなった。


 マドカからも聞いていたし、沢口さんも私が帰った後、大人しくなってしまったみたいで、
今なら、もう少し大人げを出して笑い飛ばせてあげられたかな?なんて思ったりもした。

 そんな合コンの反省点を私が口にすると、

 「あれはあれでいい薬さ!
人は誰かに忠告されないと、中々気づけないし、されたところで簡単に直せやしない…
簡単に直す事が可能なら、世の中に善人が溢れかえって、平和になり過ぎるかもね?」

 誠治さんは言った。

 「傷つかないで済むなら、それにこしたことないですけど、難しいですね…」

 「柔軟な心なんて無理でしょ?」

 「確かに無理かもしれませんが、黒崎さんは、私から見たら柔軟性のある人ですよ!」

 「それは華ちゃんのかいかぶりだよ。
俺の心の中はドロドロかもよ?」

 「そんな風には見えませんよ!

 私……
嬉しかったんです。
あの時、黒崎さんに気に掛けて貰えたこと」

 「そんなに喜んでくれるのは、華ちゃんの心がピュアだからさ!
 俺は、華ちゃんのそんな部分が、凄く可愛いと思う。

 うちの妹は我儘でね。
 何でも欲しがる。
 直ぐに飽きる癖に、友達が物珍しいものを持っていると、自分も持たないと気が済まないらしい…
 まぁ、与えちゃう俺も悪いんだけどさ…

 手に入るものを何でも欲しがるのは、欲張りだし、口に出来るのは素直な証拠なんだけど、
我慢も足りなくなる。

 華ちゃんは妹と正反対な感じ。

 欲しいものがあっても、口には出さない奥ゆかしさみたいなもんを感じたよ」