「頭を上げてください!

 誠治さん、異常じゃないですよ。

 人を好きになることは、当たり前の感情です。

 血が繋がってないなら、その気持ちが抑えられなくて苦しいですよね……

 誰かを好きになって、その気持ちを止めたかった。

 でも、うまくいかなかった。

 今のお話を聞いて、私も胸のつっかえが取れた気がします。

 仕方ない事って、世の中に沢山あります。

 私は……

 仕方ない事をずっと諦めてきたので、免疫もありますから、大丈夫ですよ!」


 「本当にごめんなさい」

 「もう、謝らないで!

 その人が必要な時に、必要な縁を持った人が現れるそうです……

 私にとって、誠治さんはそうだったのかもしれません……

 無駄な縁なんて、ないんですよ!」


 「華ちゃん……」


 冷めたブラックコーヒーは苦い!
この苦味を噛み締めた。


 好きだった人に、最後の最後に、『さよなら』をちゃんと言えた。

 ほんの少し大人になれた気がした。

 誠治さんが居なかったら、私は変われなかった。

 だから、あなたとの縁も必要だったんだよ。

 ーーしかし、女の気になるとか引っかかるって勘は当たるよねーー

 ここまでの事は予期してないとはいえ、最初から誠治さんの妹さんの事が気になっていた。


 そういう事だったんだね。