今なら、百合の気持ちを分かってやれたかもな……

 もう少し、百合にとって居心地いい男になれたかもしれない。

 あの時の俺は、百合を自分のものにしたい独占欲に支配されて、百合に溺れて、繋ぎ止める手段で抱いていた最低男だった。


 セックスが終わった後、百合は乱れた衣服を直しながら言ったんだ。

 「晶……こんなのイヤだよ!」

 「今から百合は他の男に愛想振りまきに行くんだろ?

 仕事だから仕方ないよな!

 でも、そんな百合を見送る俺はどうなの?

 こんなに好きなのに、そんな場所に行かせたくないのに見送らなきゃいけない。

 百合にとって、俺ってなんなの?

 遊びなのか?」



【パシーン】って、音が聞こえた瞬間、俺の左頬に痛みが走った。


 目の前の百合が見た事もない形相で、俺を睨んでた。

 悔しそうで……
怒りの篭った顔になって……

 俺を見ながら、静かに言ったんだ。