「参ったな‥‥‥
泣かないで華ちゃん。
俺は華ちゃんの事、凄くいい子だと思う。
正直なとこがいいよ。
俺なんかさ、気に入らない事あるとさ、ムッとして黙る方だからタチ悪いよ?」


 優しくしないで‥‥‥

罪悪感でいっぱいになっちゃう。
あなたに迷惑かけて、困らせる子になりたくない。

涙を止めようと必死になればなるほど、溢れてきた。


 「泣けるっていいな。
心が素直な証拠。
悔しかったんだよね?
何となくだけど、その気持ち分かるよ。
あっ!
追いかけてきた方が迷惑だったかな?」


私は激しく首を揺すり、否定した。



 違う、違う!!
 男の人に優しくされるのは慣れてない。
こうして追いかけられるのは、ドラマや映画の綺麗で可愛いヒロイン限定なはず。
 デブの辞書にはこんなシチュエーションは、有り得ませんからー!!


「あっ‥‥あ‥‥有難う御座います。」


 私は嗚咽を漏らしながら、お礼を言うのが精一杯。


 こんな時、都会の景色に救われる。


 駅に急ぐ人は、私達に気にも止めない。
時折振り返る人が居ても他人事。
下手にお節介心を出して、声を掛けてくる人も居ない。



 若い人達の喧嘩か?
 別れ話か?
 彼女泣かしてるなどと想像はするだろう?

でも、そんなのは一瞬。

 みんな自分の為にだけ動き、自分の為にだけ時間を使う。

 そんな無関心にムカついたり、有難いと思ったり………

 人間として生きる以上、無駄なものは無意識に排除しょうとする。


 だからかな?

 心配してくれる人が居るのは、女心を揺さぶり、恋に落ちるほど動いてしまうんだよ。

 特に、モテない女には特効薬くらい効き目があるのさ。