溺れる恋は藁をも掴む

 親父の愚痴と言う、毒を撒き散らした空気の中で、家族は堪えた。



 ーー全く、腐ってるーー




 俺は内心、母さんに同情しながらも、こんな親父の姿を見る度がっかりしてしまい、見て見ぬ振りをする様にもなった。


 一言でも口出せば、『俺をみんなで悪者にしやがって!!』と、また怒りの炎に火がつき、被害妄想となり怒鳴りまくる。


 ーーそういうの、凄く、面倒だったーー



 クタバレ!!
死んでしまえ!!

 俺の醜い心がいつも呟いていた。



 こんな親父を、どうする事も出来ずにいた母さんにも、内心がっかりもしていたんだ。