未知の世界4


女湯の外に行くと、幸治さんが椅子に座ってた。






あ、ヤバッ





「ごめんなさい、遅くなりました。」





「大丈夫だよ。






もっとゆっくりしてこればよかったのに。」  






と椅子から立ち上がる幸治さん。






「長湯は心臓に悪いかと・・・・・・。」





周りに聞こえないように呟く。





そんな小さな声も広って聞いてくれる幸治さん。





「そうだな、治ったらな。」






ほんとに治るのかな。






医者になるために大学を卒業したのに、私は自分の病気を治すことも消極的で、他人事のように捉えてて。







そして治してもらえるもんだとも、心のどこかで思ってる。





自分で治そうと思わないといけないのに・・・・・・。






「何、暗い顔してんの?






早くホテルに戻るぞ。」





幸治さんが私の荷物を持ちながら、私の手を引っ張る。





あ、手が・・・・・・





私の右手には幸治さんの暖かくて大きな手。






普段、マンションの近くでは手を繋ぐなんてできないから。




病院関係者も多いし、患者さんだっているから。





だから、今回は特別。