未知の世界4



~お昼ご飯、食堂にて~






「佐藤センセっ。」







幸治を見付けた進藤先生が、お昼の定食を手にして声をかける。







『あ、進藤先生。お疲れ様です。』




「お疲れっ。って、かなり疲れた顔してる、佐藤先生。」






同じように定食を持った幸治は、進藤先生のそばの机に定食を置いて、進藤先生と腰を降ろした。






『受け持ちの患者に手を焼いてて。』






「いくつ?」






『16歳の高校一年生です。』






食事に手をつけながら幸治が話す。






「あ~難しい年頃だねぇ。







でも、かなちゃんもそのくらいにここに来たんでしょ?」








『そうですね。かなにはかなり厳しくしてましたけど、今回の子は、心臓が良くないんで、厳しくもできず・・・・・・。』






「それは尚更大変だね。小児科は本当、治療だけじゃないからね。で、その子が何したの?」 







『違う階でジュースを飲んでて。





それが昨日の昼のことなんですが、それをかなが見付けて教えてくれて。





夜に知ったもんですから、そこから検査して。





そのあと消灯前に脱走して、発作を起こして・・・・・・。







少し走ったみたいなんですが。






それもまた、かなが見付けてくれて。』







幸治がそこまで言うと、進藤先生がハッとした。






「それで~!」






納得した顔をする進藤先生。






『何がですか?』






不思議がる幸治。






「かなちゃん、今朝から熱が出ててね。






肺の音もあまり良くなくて。」







『そうだったんですか!?知らなかった。』




「かなちゃんのことだから、『忙しい幸治さんに、迷惑かけないように』って、黙ってるんじゃない?」








『はは、進藤先生・・・・・・。かなのこと、本当に詳しいですね。』






「そりゃ、何年も主治医してるから。






さっき見に行ったけど、昼も食べずに寝てたよ。






昨日のことが、相当疲れたのかもね。」







幸治は、進藤先生の話しを聞いて、いてもたっていられず、ご飯を掻き込んで、食堂を後にした。







「はは、微笑ましい姿。」






進藤先生はそんな幸治を暖かい目で見送った。