病室はピリピリとした雰囲気に包まれたが、すぐに採血の用意をした看護師がノックをしたので、緊張が和らいだ。
心臓に負担をかけるので、あまり良子を興奮させてはいけない。
しかし、病気と闘う気力がないのも困る。
良子は良子で、厳しく管理された入院生活の中で、溜め込んだストレスの行き場がない。
しかし、幸治を怒らせることをしていることも自覚している。
お互い緊張した空気が破られ、どこかホッとしている。
部屋に入ってきた看護師に、良子の採血をさせる幸治。
「良子ちゃん、ごめんね。」
と言いながら、両手で良子の腕を伸ばし、台に乗せてチューブをきつく巻く。
良子の腕はもう刺す箇所がないほど痣だらけになっていた。
「はい、終わったよ。」
そう言う看護師が、良子の腕を元に戻し、採血道具を片付ける。
「夜間ですが、今から検査に回してください。」
そう看護師に指示する幸治。
「はい、分かりました。」
そういい、看護師は部屋から出て行った。
「今日は早く寝なさい。」
そう良子の顔を見ながら幸治が言うが、良子は顔をよそに向けて返事すらしない。
幸治は仕方なく、部屋を後にした。



