未知の世界4


幸治は聴診器を片手に、森良子の病室に入った。




「どう、体調は?」




そう幸治が良子に尋ねるが、良子は特に返事をしない。




「少し診察させて。」




「なんで?さっき終わったよ!」




幸治にも冷たい口調で言い放つ。




「君の担当は俺だ。俺が診察するのは当然だ。」




少しきつい口調で幸治が返すと、良子は渋々布団をめくった。




しかし、自分からはパジャマを開けないので、幸治は素早く上からボタンを外していく。




良子は真剣な眼差しの幸治の顔を見ないようにと、目を反らしていた。




静かな時間が流れる。




「ところで、今日はどうして内科の待合室なんかにいたんだ?」




聴診器を良子の胸に当てながら、幸治が尋ねる。




一瞬良子は驚いた表情をするが、すぐに元の表情に戻った。




「落ち着いてるフリしてても、体は正直だぞ。」




幸治はかなの言う女子高生が良子で間違いないと判断したのか、ナースコールを押して、採血セットをもってくるように指示した。




良子は幸治が診察を終えると、急いで胸のボタンを外して、布団を勢いよくかぶった。




「ジュースを飲んじゃいけないことくらい知ってるだろ?




この入院生活で食事にも気をつけてきたのに、全て無駄になるんだぞ。」




普段患者に厳しく言わない幸治だが、叱る時は厳しい口調になる。




「・・・・・・・。」





何も返事をしない良子を見て、ため息をもらす。




「少しでも体に負担のあるものを摂れば、命取りになるんだぞ。」






「そんなことわかってる!!!!!もうそういうの、どうでもいいから!!」




そう言うと、興奮しているのか、良子が呼吸を荒くしていることがわかった。