~その頃、小児科の医局では~
「早川先生!夕方の回診は終わりましたか?」
当直の早川先生に、幸治が口早に尋ねる。
「えぇ。無事何事もなく終わりましたが、どうされましたか?」
「そうですか。森良子はどうでしたか?」
幸治はかなから聞いた心臓病の女子高生というのが、自分の担当患者の森良子(もり りょうこ)ということに気づいたのだ。
「心音に以上もありませんでした。特に変わった様子がなかったので、検査などはしてません。」
「そうですか、実は、さっきかなの病室に行ったんですが。
森良子と思われる子が、内科の待合室でジュースを飲んでたみたいで。
口調からも彼女だと思うんですが。ちょっと病室に行ってきます。
もし本当のようなら、血液検査します。」
「わかりました。何かありましたら、言ってください。」
「ありがとうございます。」
そう言うと、幸治は医局をあとにした。



