「思ってることがあったら言えよ。」
ベッドに近づいてくる幸治さん。
言いたいこと…あるんだけど。
言いたいんだけど…。
下を向く。
「ほら、こっち向いて。」
そう言われ、幸治さんの両手で顔を挟まれる。
「ちゃんと、ほら。」
「へぇっと…。
はぁのっ!」
う…、顔を挟まれてちゃんと喋れない。
「えっと…。」
話そうとすると、幸治さんは頬から手を離してくれた。
「本当は…
手術…、怖くて。
…手術だけじゃなくて、
その…、
入院してることだって、嫌で。
だって…、仕事をするために出勤してきたのに、そのまま入院だなんて…。
白衣着てたのに…入院服だなんて…。」
隣で椅子に座って、私を見て話を聞いてくれている幸治さん。
「そもそも…。
幸治さんも進藤先生も…
医者になって、この大学病院で働ければ、もし何か私にあっても大丈夫だって言ってくれたのに…。
結局、大丈夫じゃなくて…。
でも、それは、
自分がいけないってわかってます…
飲まないといけない薬を飲んでなくて。
吸引もまともにしてなくて、仕事中も廊下を走ることもあって。
それに…ご飯も食べてなくて。」
言葉も止まらないし、気づくと大粒の涙が頬を伝っていた。
「自分がいけないことしてるのに、
それなのに…
治らなくて…。
言われたとおりにしないから…それがいけないことなのに。
分かっているのにできない…。
それから…
手術のこと…
もし…手術室に入って…
二度と目が覚めなかったらって…
そういうことを考えれば考えるほど、どうしようもなく不安で。
そのことを、幸治さんや進藤先生に言えば良かったのに。
誰かと話してる時は、そんなこと考えたくない自分がいて…。」
もう…涙で…、前が見えない…
鼻も詰まってて、頭がボーッとする…
ギュッ!
幸治さん…
「辛かったな…
一人で悩んで…」
幸治さんのぬくもりを感じ、目を閉じた。
幸治さんの匂い、好き…。



