朝、眼が覚めると回診の時間。
ガラガラ
扉が開き、入ってきたのは進藤先生と看護師さん。
「おはよう。今朝の調子はどう?」
連日の怠さが、少し遠のいていた。でもスッキリはしていない。
「…昨日ほど悪くはないです。」
「そう…。
じゃあ診察するからね。」
そう言い、ベッド沿いの椅子に座り、聴診器を耳にはめる。
私は起き上がろうと、ゆっくり体を起こす。
「ぁっ……」
気づくと上半身が進藤先生の方へ倒れかかっていた。
ベッドから落ちる前に腕をついた。
咄嗟のことに手を出すこともできず。
フラついたけども、すぐに体が反応せず、結局倒れかかってしまった。
「かなちゃん、大丈夫っ⁉︎」
慌てた声で進藤先生に体を起こされ、寝るように言われる。
「血圧を先に測ろうね。」
と先生に腕をとられる。
「気持ち悪くはない?目眩とか。」
そんなことはない。
「いえ、ただ力が入らなくて。
突然のことで…倒れることを気づくのに時間がかかりました。」
何だろ、この体…
こんなこと最近はなかったのに。
血圧を測り終えた進藤先生は、看護師さんが私のパジャマを開けるとすぐに、胸に聴診器を当てた。
目を閉じ、じっくりと心音を聞く先生。
聴診器が胸から外されたところで、
「悪くなっていますか?」
と尋ねる。
普段なら、現実と向き合うことが怖くて自分から症状を聞くなんて、絶対に無理。
でも、さっきのフラつきに正直、自分でとただ事ではないと感じている。
貧血…?
貧血なら今までにもこういうことはあって、目眩がつく。
それに急に立ち上がるときに多いし。
こんなことはなかなかない。
いろんなことを考えながら、進藤先生の言葉を待つ。
「う〜ん、何とも言えないな。
貧血なのか。それとも体力が落ちて来てるからなのか。」
体力が落ちてる。
確かに、まともに食事を食べたのはいつだろう。
ここのところ、体を動かし過ぎて、逆に食べられないことが多かった。
入院してて、動かないからお腹が空かないこともあるけど。
めっきり、食欲が落ちた。
「ふぅ。
手術にしても、まずは体力付けないと。」
「もう、いいんです。」
「だからかなちゃんっ!?
投げやりになってはダメだよ。
かなちゃんが諦めたら、僕たちはどうしようもできないし、せっかく医者になれたんだから。」
いつもなら優しく話す進藤先生だけど、少しあせりのようなものも感じられる。
「前回した心臓の手術だって、完全に治った訳ではなかったんだし。
きっと次も同じです。」
「そんなことないよ。」
「それに、私はやっぱり自分から治す気がないんです。
毎日、ちゃんと薬も飲まないでいるくらいですし。」
そういうと進藤先生は何も言わなかった。
手術したところで、また薬を飲み続けるなんて辛いな。
「それは確かに、かなちゃんが体と向き合わないからだね。
かなちゃん。
まず君には、人を治したいという気持ちはある?」
ゆっくりと話しかける進藤先生。



