担当患者が減って、落ち着いてきたので、久しぶりに良子ちゃんのベッドを訪ねた。
病室には悠斗くんはいなかった。
待合室かな?
「良子ちゃん、入るね。」
閉められたカーテンを開ける。
「どう?調子は?」
雑誌を読んでいた良子ちゃんが顔を上げる。
「かなちゃん・・・・・・。
まぁ、相変わらずだよ。」
「ハハハ。
ご飯は食べてる?」
「あんまし・・・・・・。
何もしてないから、お腹空かないし、まずいし。」
そうだよね。私も・・・・・・。
「ってか、かなちゃん、食べてる?」
ギクッ!!!
「まぁまぁ、ぼちぼち。」
「図星だっ!」
といい、声に出して笑う良子ちゃん。
「私、退院しても行く場所ないし。」
突然暗くなる。
「家には帰りたい?」
「・・・・・・う~ん。あんまり。
早く働きたいな!」
「そっかぁ。
今年3年生だよね?何か将来の夢とかは?」
「よくわかんない。だって、今まで病院ばかりだったから、どんな仕事があるのかも分からないし。
かなちゃんは?どうして医者なの?」
「私も良子ちゃんと一緒だったよ。
私はいつか高校を出たら就職って思ってたけど、ある人に医者を奨められて。
まぁ、全てその人の後押しがあったから大学にも行けたんだけどね。」
「へぇ~。
私にはそんな頭がないから、お金以前の問題だけどね。」
「看護師さんなら?
奨学金で学校に入れるよ!」
私は身近や職業を思いついて、看護師を良子ちゃんに薦めてみた。
「あ~、考えたことなかったかも。
だけど、寮のあるところもあるって聞いたことある。」
「それなら、家にいなくてもいいね。」
「うん。そこが一番魅力だね。」
良子ちゃんは、意外にも看護師という夢が有り得そうな、そんな表情だった。
「なんにせよ、早く体力つけて、退院して、高校で勉強することだよ!」
「はぁ~、すぐそこに持っていく・・・・・・。」
「そりゃ一応医者だも~ん!」
そういうと、二人で笑いが込み上げてきた。
そろそろ帰ろうとすると、
「そういえば、同室の子。
よく待合室で見かけるんだけど。
あの表情は気をつけた方がいいよ・・・・・・。
何か考えてる。脱走するか、危険な方に身を投げるか・・・・・・。
とにかく、近いうちに何かやらかすかもしれないから、要注意だよ。」
え?あの悠斗くんが?
そんな表情だったかな。確かに暗いけど。
「ありがとう、良子ちゃん!」
そういって、部屋を後にした。



