未知の世界4


対面に座っている早川先生と、外来の処置について話を聞いて食事をする。





体を動かせば動かすほど食欲がなくなる私は、バイキング形式のこの食堂で選んだのは、少量のご飯とみそ汁、サラダのみ。





おかずはなし。





何だか喉を通る気がしない。





そんなプレートを目の前にして、早川先生はきっと何かを思っているのだろうけど、口にしなかった。






何か言われなくて良かった。






食べ終わって、食堂を出るときにホッとする。






だって、昔から診てもらってた先生に、毎日何か言われるのも嫌だし。






そして医局に戻って資料をみていると、






「・・・・・・もっと食えよ。」





と言う言葉と共に、頭の上からスティック状の玄米でできたヘルシーな健康食品が三個降ってきた。





ビクッ!!!






とした私に、周りの先生が笑っている。







振り返ると・・・・・・、少し怖い顔した幸治さん。






「ヒッ!!!」






つい悲鳴をあげる。






それにまた医局にいた先生が笑っている。






食堂に幸治さんがいたのだろうか。







多くの医者や看護師、患者さんの家族で埋まる食堂。






全く気付かなかった・・・・・・。







そして私の机にすかさずペットボトルに入った水を置くのはたける。







二人の息がピッタリあっていて、つい苦笑い。








早川先生に何も言われなかったから油断していた。







前に座る早川先生を見ると、笑っている・・・・・・。








早川先生が私の食事を見て何も言わなかったのは、幸治さんが知っていたからなんだと、その時分かった。








私は渋々一つを手にして、袋を開けた。







食べたくない・・・・・・。








小さな口で少しかじっては水で流し込む。






3cmくらい食べたところで袋にしまう。






「かなっ!!!」






とそれを見ていた幸治さんに声をかけられ、再び悲鳴をあげる。






そして医局にいる先生が皆で笑う。







皆、私の持病を知っている。







高校生の頃に入院していた時からの先生もいる。







大人になってから内科にいたけど、心臓を患ってその心臓が小児同様に小さいことから、アメリカから招かれたお父さんに手術を受けてる。






そしてその手術は論文にもなっている。





だから、医局にいる皆がそれを知っている。






何だか恥ずかしい気もするけど、自分のこととしてあまり感じられない。
 




  

論文では、顔でなく臓器しか写らないから。






さっきから皆に笑われてる。





それも恥ずかしいことだけど、小児の医局はそういう笑いが多いみたい。





昔から小児の医局の雰囲気は、子供でも好きになるようなところがあった。






  
普段から子供を相手にしてるからかな?





和やかな雰囲気。