未知の世界4


「今日は疲れただろ?」





吸入器の前に座る私に、幸治さんが声をかける。






「はい・・・・・・、ずっと緊張しっぱなしで。」






そう答えると、幸治さんは吸入器の使い方を丁寧に教え始めた。





「これからは自分で仕事終わりに、ここに来て吸入しなさい。





自分の体のことは、自分が一番よく知ってるだろ?」






私の隣の席に腰を下ろして幸治さんが言う。






「・・・・・・はい。あ、でも費用のことはどうしたら。」





勝手に機械をいじっていいのかな。





これも薬が出るわけだし。





「あぁ、大丈夫だ。職員はこの病院での治療費はタダになるように手当てがあるんだ。





だけど、一ヶ月単位でどのくらいこの機械を使ったかといのは、翌日でいいから、パソコンで入力する必要がある。






またそれは明日にでも教えるから。」







そうなんだ。今まではそういうことも、全て進藤先生や幸治さんかやってくれてたんだね。







「じゃあ、一回だけでいいから。」






そういい、私に機械をつけるように促し、私は渋々スイッチを入れた。

  
 
  

 

ガチャッ







ゴーーーー、







ゴーーーーーーーーーーーー!!!






次第に大きくなる音と共に、マスクから薬の入った湯気が吹き出る。






それを口に当てる。







「ゴホッ!ゴホゴホゴホっ!!!







ハァハァハァ・・・・・・。」







呼吸を整え、いざ。







「ゴボゴボゴホゴボゴボゴホ・・・・・・。」







うぅ、毎度ながら慣れないし、吐きそうな臭い。







余計に疲れがどっとやってきて、睡魔も襲う。







すると、隣に座っていた幸治さんが、私の後ろにやってきて。







「後すこしだ、頑張れ」






私の背中から抱き着くように私を支えて、ドキッと胸が高まる。








と思ったら、私の持っていたマスクをさらに私の口に隙間なく押し当てる。







「ゲボッ!!ゲボゲボゲボゲボ!!!・・・・・・。」







意識が遠退きそう。







吸う瞬間に咳込むから、うまく呼吸ができない。






苦しくて涙が目に浮かぶ。







ついさっきの幸治さんの行動にドキッとした私が馬鹿みたい・・・・・・。







最初から幸治さんは医者だった。







家でも医者の顔になるけど、病院では夫の顔ではないことがよくわかった。







もはやまともに息ができてないから、これが本当に意味ある行動なのか分からないけど。







ピーーーー!






と、ようやく終了音がなる。






「ハァハァハァハァハァハァッ!」






苦しすぎてなかなか息をうまく吸えず、呼吸はいまだに荒い。






吸入が終わると立ち上がる幸治さん。







すぐに帰ろうとする幸治さんを追い掛けようと、席を立った瞬間っ!