「えー、ここが小児科の医局です。」
何度も見てきた小児科の医局。
いつもと違う雰囲気が流れる。
見慣れてるはずなのに、まるで初めて来た場所のように思える。
私たちが医局に入り整列すると、医局にいた医師が立ち上がった。
前は男の人で、あまり見えなくて、幸治さんを探せなかった。
「今日からやごな病院に就任しました。
よろしくお願いします!」
「『よろしくお願いします!』」
何度目になるのか、各医局、ナースステーションでこの挨拶を繰り返す。
きっとどんな人も同じように挨拶してきたんだろう。
私は幸治さんを見つけられないまま、医局を出ようとした。
と、その時っ!!!
腕が引っ張られ、振り向くと
「かな?」
幸治さんだっ。
今朝会っているのに、もうずっと長いこと会ってなかったかのように、今日は長がった。
「大丈夫か?顔色悪いぞ。」
ゾロゾロと医局から集団が廊下に出始める横で、幸治さんに声をかけられた。
何事だろう?と振り返る人もいた。
「はい。緊張のあまりお昼もあまり食べれなくて。」
「そっか、もう少しで終わると思うけど、辛かったら言えよ。」
「はい、でも、幸治さんに会えて少し気持ちが楽になりました。」
お互い小さい声で話す。
もうそろそろ集団が医局からで終わってしまう頃、幸治さんに行くように言われた。
私は緊張が緩み、軽くなった心で集団に入り込んだ。



