樫の木の恋(上)


比叡山はたくさんの坊舎があり何万もの兵を入れられたりする。
包囲網を何とかするには、比叡山延暦寺が織田家につかないので無力化が必要なのだ。

「比叡山の僧兵も僧兵じゃ!やつらは入れてはいけないはずの女子を寺に入れ遊んだり、悪徳な金貸しをして荒稼ぎしたり。」

「武具なども買い付けておりますからね…。」

「ましてや何が、我らに逆らえば仏が罰を下すだ!ただの脅しではないか。本当にたちが悪い。」

確かに比叡山の連中は本当にたちが悪かった。僧とは思えぬ程乱暴で、欲にまみれている。

「大殿が京の町の治安維持に力を注いでおるというのに、それすらも脅かしかねん。」

秀吉殿は深くため息をつく。

「恐らく徹底的に潰すのだろうな…。しかし曲がりなりにも寺じゃ。徹底的に潰せば反感を買うのだろうな。」

いくら軍事的に危ないところだとはいえ、一応寺だ。
民の心が離れてしまう事が心配なのだろう。

そして何よりも延暦寺を焼き討ちにすることによって、今引かれている織田家包囲網がより強固なものになってしまう。
面倒な武田の軍が更に躍起になりかねない。

しかし、やらないわけにはいかなかった。