「なんです?」
「いや、な。その…」
蝋燭が少し揺れながら映す秀吉殿の顔はいつの間にか赤く染まっていた。
なかなか話そうとしない秀吉殿に近づき、横に座ると秀吉殿は体を預けてくる。そんな秀吉殿の肩を抱き、顔を覗きこむ。
「昨日は横山城に向かうために皆も一緒だったろう?それで昨夜は疲れてすぐに眠ってしまったし…。今日も朝からお互い忙しかったから…その…」
「どうしたのです…?」
「じゃから……口付け…したいな…なんて。」
「…!」
まさか秀吉殿にそんな風に甘えられるなんて思わなくて、思わず驚いてしまった。
しかしそれが拒絶の反応だと捉えたのか秀吉殿は体を離し、いきなり詫びを入れてくる。
「す、すまん!嫌じゃよな。その…強要するつもりはなくて…!今のは…忘れてくれ…。」
謝る秀吉殿の体を引き寄せ強く抱き締める。
「半兵衛…?」
「嫌な訳無いではないですか。甘える秀吉殿が可愛くて固まってしまっただけです。」
「あ、甘えてなどっ…んっ」
顔を真っ赤にしながら否定をしようとする秀吉殿の唇に自分の唇を押し付ける。とろけてしまいそうな程ゆっくりと舌を絡ませる。
「秀吉殿の唇って柔らかくて気持ちいいです。」
「うるさい…。ん……」
何度か口付けを交わしてから体を離す。
秀吉殿の体を持ち上げ布団へとゆっくりと寝かす。
持ち上げた際にばたばたと暴れる秀吉殿に口付けをすると大人しくなるのが可愛い。
「…半兵衛……。」
可愛く名前を呼んでくる秀吉殿を横になりながら抱き締め、口付けをする。
しかしそれ以上は一切せずに、抱き締めながら寝た。

