「半兵衛…」

目を潤ませながら吐息を吐くように名前を呼ぶ秀吉殿の着物をずらしてから、さらしの上から胸をさわる。

「いや…!」

「っ!嫌ですか…?」

さっと手を引き秀吉殿を見つめる。秀吉殿は不安気で少し恐怖の色を混ぜながら見ていた。すると秀吉殿はもう一度首の後ろに手を回して、引き寄せるように抱き締めてきた。

「……すまん半兵衛…。その…」

「安心してください。秀吉殿が嫌な事はしないですから…。」

そう言ってから秀吉殿の横に体を降ろし、横になりながら秀吉殿を引き寄せる。

「…すまない…。」

大殿の時は大丈夫だったのか、とか色々と聞きたいが、そんなこと聞いたら嫌われそうでただひたすら強く抱き締めていた。

「気にしないでください。充分可愛い秀吉殿を楽しめましたし…」

「は、半兵衛は!すぐそういうことを言うんじゃから!」

そうして気不味い雰囲気から、いつもの雰囲気に戻れて少しほっとしていた。だけどわだかまりは残っていて、それがもやもやと心の中で不安を作る。
きっと何かあったのだろう。しかしそれは話してくれないのだなと悲しみが体を覆っていた。