本当にすぐに二人は戻ってきた。木下殿の顔はどこまでも険しくてやはり嫌だったというのが分かる。
それに相反して明智殿は笑みを浮かべていた。

「秀吉はつれないな。もう少し愛想を持っても良かろうて。」

「嫌いな方に愛想を持っても仕方ないでしょうに。」

顔をしかめながら木下殿は悪態をつく。

「そんなこと言うて、先程の口付けはなかなか情熱的だったではないか。」

そう言いながら、明智殿は木下殿に後ろから抱きつこうとする。しかしそれを拒絶した木下殿が即座に手を振り払った。

「やめてくだされ。今日の約束は終わりましたでしょう?」

「ふふっあまり苛めると嫌われてしまうな。」

そう言ってお手上げといった感じで手を上げる明智殿。木下殿はひと睨み明智殿を見ると、自分に帰るぞと言って二人で明智殿の家を後にした。