「そんな顔をするな。」

「秀吉殿…生きていて…くだされ。」

強く抱き締めると、秀吉殿はよしよしと子供をあやすかのように背中を撫でてくれる。

「もう…死のうとなどせんよ。半兵衛という大事な人も出来てしまったしな。」

「今も、辛い…ですよね…?」

「まぁ…な。でも半兵衛がいてくれるから大丈夫じゃ。」

そういうとゆっくりと口付けをされた。秀吉殿の存在を確かめたくて、何度も口付けを交わした。

「ふふ…半兵衛、泣いておるのか?」

「そんなわけありませんよ。」

「しかし、今」

秀吉殿の口を塞ぎ、舌を忍ばせる。

月明かりに照らされた秀吉殿は綺麗で、儚くて。そこだけ異世界のような異様な雰囲気を放っていた。

守りたいと言ったら生意気だと怒られてしまうだろう。

「秀吉殿、死ぬまで共にいさせてくだされ。」

だから、こう口にした。