「おい、誰かいるか!」
「はっ!」
大殿はいきなり小者を呼びつけ指示を出す。指示を出し終わるとこちらへと向き直った。
「半兵衛…挽回の機会を与えてやろう。」
「え…?」
「これから朝までに秀吉を抱け。部屋は用意させた。」
「お、大殿!何をいきなり!」
恥ずかしくて顔を上げられなかった秀吉殿が、さすがに今の発言には驚いたようで口を挟む。
「秀吉もそろそろ克服しろ!でないと、今度こそ本当にどこかの女子に取られるぞ?」
秀吉殿は何も言い返せず、うぐぅと黙ってしまった。
「それがしはそのようなこと…!」
「半兵衛も抱けぬというなら、今度はわしが秀吉を奪うぞ?それでも良いと申すか。」
「なっ…!」
大殿が秀吉殿を本気でとろうと思えば、いくらでもそのような事すぐに出来るだろう。
それだけは避けたい。
「決まりだな。二人を部屋へ連れていけ。抱いたと嘘でもついてみろ。秀吉は小谷城へは帰さんからな。」
大殿は悪意のこもった笑顔で楽しそうに笑っていた。
三成は諦めたといった感じで、くすくすと笑っている。
自分と秀吉殿は数人の小姓に連れられ、部屋へと入らされた。

