「まぁ此度の件の中で、一番悪いのは半兵衛じゃな。」
「えっ!な、何故それがしなのですか!」
どう考えても三成に決まっている。騙して秀吉殿を手に入れようとしたのだから。
大殿のその判断に思わず食って掛かる。
「当たり前じゃろ!要は半兵衛が秀吉と体の関係を持たなかったせいなのじゃから。」
「し、しかし秀吉殿は…」
「阿呆め!そうやってお前が気を使うから、秀吉は自分に魅力が無いのではと自信を無くし、三成の嘘も信じてしまうのじゃ。そういう女心すら分からんのか!」
大殿に一喝されてしまった。
秀吉殿は大殿が大声でそのことを話すのに耐えきれなかったのだろう。顔を真っ赤にし、下を向いている。
「少しずつでも慣らそうとせんのか!」
「ひ、秀吉殿が嫌がる事はしたくなくて…」
「その考えのせいで秀吉が不安になっているというのが分からんのか!この助平め!」
「なっ…!」
三成は横で大殿と自分のやり取りを眺めながらくすくすと笑っていた。
秀吉殿は相変わらず下を向いたまま顔をあげようとしない。
いや、恥ずかしくて上げられないのだろう。

