二人は人だかりが出来ているところへと歩いていった。
「あそこにクラスとか書いてあるのかな。いってみよう。」
伊織は流行る気持ちを抑えられないかのような声を出して、由宇の手をとり走り出した。
人の波を掻き分けてなんとかボードの目の前までやってきた二人。
各々自分の名前を探していた。すると、
「あった、あったよ。私は2組だった。」
と伊織が隣の由宇に話しかけた。由宇はと問いかけると
「私は3組だった。一緒じゃなかったね。」
と少し残念そうな声で話した。
「それでも、親友なのは変わらないじゃない。それよりもこれからの学生生活を楽しもうよ。」
笑顔ですかさず伊織は答えた。由宇はうんと頷いた。
伊織のこの前向きな姿は由宇にはないもので、いつも励まされていた。
昇降口で別れた二人は各々の教室へと向かっていった。ボードのところに各教室への地図もあったのだが、2組と3組の教室へは登る階段が違っていたからだ。2組へは昇降口正面の階段を登ればよいのだが、3組へは正面の階段の隣の職員室と職員会議室の二部屋を挟んだ右隣の階段を登るのである。その為二人は昇降口で別れたのだ。
終わったら一緒に帰ろうと約束をして、それぞれの教室へと向かっていった二人。