そのまま夜までテキトーに過ごした。やる気のない宿題を済ませ、スマホで水泳の技を調べた。日が落ちてきたら、お風呂に入った。毎日あんな臭い水の中にいるのだ、お風呂は欠かせない。
プールの水と、そこでかいた汗を一気に流す。とても気持ちよかった。お風呂は、自由だ。ゆっくりと、温かいお湯につかる。そのとき。
「仁奈!!!どこにいるの!?洗濯物、取り込んでおけよ!あと、食器洗いもやっとけ!」
お母さん・・・。さっきはあんなに興味無さそうだったのに。あたしは、完全に便利屋だ。お湯に頭まで浸かる。見つかったら、きっと殴られる。なんでやっておかないんだ、って。でもうちは母子家庭だ。ここまで育ててくれたのは、紛れもないお母さんなのだ。だから、感謝しなきゃ・・・。そんなことを考えて、お湯の中で息をひそめる。そろそろ・・・そろそろ・・・来るはずだ・・・。

バン!

「お風呂なんて呑気に入ってんじゃないわよ!この馬鹿!」
頭に強い痛みが走る。
「あんたって子は!あんたなんて、死んじゃえ!」
でた。お母さんの口癖。
“あんたなんて、死んじゃえ!”
あたし、これを言われる度にすごく傷つく。あたしは、お風呂のなかでひどく泣いた。