好きだと言う前に

「ありがとう…ございます。」


「ああ…私の部屋に風呂がついてる、その汚れはそこで落とすといい。」


服などは使用人に用意させるとして…ドライヤーもあるし、大丈夫だな。


「いいの、ですか……?」


「はは、もちろんだ、それでそこらじゅう歩かれて汚れてしまっては困るからな。」


まだ歩きだし、冗談のように私は言う。


「……そうですね。」



「………あ。」


笑った。


ふにゃりと顔をゆがめ、少しの間だけ笑った彼は、とても綺麗だった。



「…どうかしましたか?」



「…あ、いや、なんでもない。」


「そうですか…?あ、僕の名前は、レンゲです。」


「レンゲ…いい名だ。」


とても素敵な響きのその名は、何度でも呼びたくなった。



「ありがとうございます…。」