いつもは人が押し寄せるここは、市内で一番大きい図書館。


閉館時刻になると誰もいなくなる。


戸締りをするのは、最近バイトに入ったばかりの俺。


なんとなく彼女を起こせなくて、近付いてみるとこれだ。



ーー可愛い。



これを一目惚れというのだろうか。


俺はしばらく、彼女の寝顔から目が離せなかった。


俺が恋に落ちた日は、こんな春の夕暮れの時だった。