「席つけ〜」

ざわざわ

「次さ、生徒会来るらしいよ!」
「マジで?!…めんどくさ」

担任の馬渕先生が、あくびをしながら教壇に立つ。
クラスは、昼休みが終わった5時間目だから、だらーっとした雰囲気。
あたしも、眠いです…。

「もう知ってると思うけど、この時間は生徒会が来て、服装点検するから」

もっと騒がしくなる教室。
服装点検ときいて、女子は曲げていたスカートを戻してる。

「無駄な抵抗はよせー、じゃあ、よろしく佐倉」

そう言って、先生と交代で入ってきたのは、女子。
その瞬間、男子の目の色が変わった。

「よっしゃ!!!うちのクラス、由宇ちゃんじゃん!!!!」
「やっべ〜テンション上がったわ」
「彼氏いないらしーぞ!」

…ほんとに、男子って生き物は…。
佐倉由宇さんは、生徒会なんだけど…。
すごく可愛くて、スタイルもいい。
男子からモテモテっていうので有名。
あたしでも知ってる、有名人。
…瀬名だって、絶対反応してる…。
そう思って、瀬名の方を見ると、スマホに集中してた。
なんで?!可愛い子がいるんだよ?!
どうしちゃったの…?

「瀬名…どうしたの?」
「ん?何がだよ」

あたしは、気になって、瀬名の隣の席に座った。
周りは、検査でみんな立ってるから、バレない。
瀬名は、返事はするけど、スマホから目を話さない。

「変だから、どーしたの?って聞いてるの」
「いや、別に変じゃねーだろw」

…やっぱりなんか変!

「生徒会の佐倉さん来てるわよ」
「知ってるわ!…で?」
「で?って……お腹でも痛いの?!可愛い子に喋りかけに行かないなんて、瀬名じゃないもの」
「痛くねーしw」
「じゃあ…なんで…」
「あのな〜俺にもタイプってもんがあんの!ああいうタイプは好きじゃねーから」
「…」

なるほど…。
瀬名にもスキキライがあったんだ…。
新発見…。

「俺、サボるわ〜」

そう言って、また風のようにどこかへ行ってしまった。
瀬名のタイプって…ギャルっぽい子よね。
たぶん。
いつもそんな感じの子と一緒にいるし。
…あたしはもちろん、タイプじゃない…ってことです…。