△▼△▼△▼△▼△▼ side美羽
奏くんは「じゃあ俺はちょっと席外すからごゆっくり。…もしなんだったら美羽、戸締りよろしく!」と店から出て行っちゃった。
Little feather の2階は居住スペースや控え室として使えるような部屋があり、カフェと2階のカギを預かっているので奏くんは今日は戻って来ないかもしれない。…突然彼と2人きりにされて戸惑ったけど…これはいい機会かもしれないと思い直した。私を心配してきてくれた奏くんのおかげで彼とちゃんと話せるかも…
「あの、さっきはありがとうございました。おかげで助かりました。」
勇気を振り絞って出せた言葉はたったこれだけ。
「あのさ、確認したいことがあるんだけど。」
恭護の言葉に心臓がドキドキ脈打ち彼にまで届いてしまいそう。
「なんでしょうか?」
平静を装った私を真剣な面持ちで見つめ…
「さっきのあれ。助けてよかったんだよね?さっきの人と付き合っているとかではなくて。」
「…もっ、もちろんです。つきまとわれて困っていたので…」
彼はなぜそんなことを聞いてくるのだろう。綾乃さんがいるのに…彼は綾乃さんのあのコト知らないのかな?…沈黙に耐えられなくなった。
「あの、本当にありがとうございました。綾乃さんが待っていらっしゃるのではないですか?早く行ってあげて下さい。」
てっきり綾乃さんと近くまで来ていたのだろうと思い込んでいたので…胸が締め付けられながらその言葉を紡いだ。
「いや、今日はひとりで来たんだ。君に…美羽に聞きたいことがあったから。」
突然昔のように呼ばれて胸が高鳴ったと同時に混乱した。なぜ今になって名前で呼ぶの?
「なんですか。」
震えそうになる声を必死で抑えた。
「…その指輪…恋人と買ったの?」
…指輪。その言葉でやはりあのとき彼は見ていたんだ。…そして工藤を恋人だと誤解したんだ。
「やっぱり、愛莉が言っていたことは正しかったんですね。…あのとき見ていたんでしょう?私が指輪を買うところを……でもなぜ1年以上経ってから会いに来たんですか?なんで、あの日来なかったの?」
…今さらだよね?もう遅い…だって彼はもうすぐ結婚するんだから。それでもどうしても聞いておきたかった…自分自身のために…聞いておかないと前に進めないから。
しばらくの沈黙の後
「あの日、あの場所へ向かう途中に事故に会ったんだ。」
事故。それは思いもよらない答えだった。
あの日事故にあったっていうの?…だからいくら待ってもあの日来なかったの?…でもなんでそのまま姿を消したの…教えてほしかった。そばに居たかったよ…
