葉月を愛してるかって聞かれたら、正直分からない。
けど一緒に居たくないとか興味がないとかそういうものでもない。
9年もずっと毎日一緒で衣食住を共にしてきて、葉月といる事がもう当たり前であるという事。
今の私があるのは良くも悪くも葉月と一緒に居たわけで、関係の根っこが深くてそう簡単には引きちぎれないって事も私も葉月も分かってる。
一緒にいる事が当たり前すぎて、切り離そうにも切り離せない自分がいるのも事実だ。
「ーーー今日、来るらしいわ」
「え?」
更衣室でドレスに着替えているとやけに上機嫌なマヤさんが声をかけてきた。
「ほら、前に言ったじゃない。例のあのお客様」
「あぁ!マキさんのお客様の!」
「最近めっきり来なかったからカイリに実物を見せられなかったけど、今日遂に来るらしいの」
3ヶ月前に初めて出勤した日からついこの前まで私の指導役として何かと手を焼いてくれたマキさん。
そんな彼女のお客様である方が今日、久々にご来店するらしい。
「まぁあの業界の人たちは上下関係が激しいから付き人の彼は来り来なかったりだけど、今日お店に彼も来るって電話があったからラッキーね」

