葉月曰く、私は『どの女よりもずば抜けてる』らしく、付き合う事になったのも葉月の一目惚れがきっかけだった。
自分が他の人より恵まれた容姿であると言う事は自覚はあるし、それを武器にするわけでも過剰な謙遜をする事もない。
そんな私を『俺には勿体ねぇ』とよく口にしていた。
勿体ない訳ないのに、私が選んだ葉月なのに、葉月は私をそういうポジションに置いてる。
それでも喧嘩はするし、お互い言いたい事は言ってきた。
お金の事で私が口を出せば理不尽に逆ギレをする葉月に文句だって言ってた。
バーと嘘をついて仕事を夜型に変えるって言った時も喧嘩になったし、朝方帰って呑んだくれてる葉月に苛立ちをぶつける事もあった。
昔と比べたら最近は喧嘩は少なくない。
けど、葉月は一度だって私に手をあげた事なんてなかった。
そこだけは信じてた。
どんなにお金やお酒にだらしなくても、暴力で人を制する人じゃないと思ってた。
「お前、外に男作ってたのかよ!?」
「違ッ」
さっき蹴られた腹部が痛くて床の上で横向きに縮こまってると、またお腹を蹴られた。

