今月の初め、生活費が回らずオーナーにお願いして前払いはしたから次はない。
頼れる親もいない。
葉月が知り合いの金融から借りたお金は、膨大な利子付きで毎月簡単に払えるものじゃなかった。
その金融から借りてギャンブルに使っていた。
借りた条件は、その分を一括で今月中に上乗せで返す事。
葉月は私の貯金を当てにして借りていた。
そんな貯金なんてとっくの昔に消えてるのに、葉月はそれがあると思ってた。
『今月中に返さないと何されるか分からない』
怯えてそんな言葉しか吐かない葉月は何を言ってもダメだった。
肩を竦ませ手足をさすって恐怖を誤魔化そうとするその姿は、払わなければどんな末路が待ってるか分かっているようで。
それを目の当たりにした私は、境界線を越えなければならないと思った。
「ごめんなさい。こんな事お願いする事じゃないって分かってるんですッ」
あんな葉月を見捨てるなんて私には出来ないと悟った。
「けどもうどうにもならなくて、どうしようもなくて、」
境界線を飛び越えた先に、答えがあるのだとしたら、私は身を投じる覚悟は出来た。
「…これが間違った選択だって、思う事はきっとないんです」
たとえ、死ぬ事になっても。

