「そうですね」
「けど、あっちの世界の人たちと、無闇に自分から関係を持とうとしちゃ駄目よ」
「しませんよ」
「最近の子って軽い気持ちでお金を借りて返せなくなる子が多いの」
「それって、」
「えぇ、」
ーーーー痛い目に遭うのよ。
お店を開けて夜も更けった頃、その人たちはやって来た。
全員黒いスーツを身に纏って、異様な雰囲気を醸し出す彼らは本当に違う世界からやって来たと思った。
1人の白髪混じりの男の人と付き人の男の人が4人。
彼らが座ったのは一番奥にあるVIP。
私はその集団から離れたテーブルにいるから誰がマキさんが言ってたお客様なのか分からない。
けどただ一つ言えることは、自分の世界とは正反対の住人であるということ。
「やっぱり生で見ると雰囲気あるよね」
隣に座るお客様がこぼれ落ちるように言った。
「そうですね」
「まぁあそこの組はここらじゃ有名だからね。牛耳ってるだけあるよ」
「お詳しいんですね」
「そんな事ないよ。ただの噂好きなんだ」
「あら。あちらの世界にご興味が?」
「カイリちゃん怖い事言わないでよ〜。俺まだ生きてたいんだから!」

