高校2年の1学期が始まった頃、私は、教室で本を読んでいた。
「彼氏ほしい〜!!!」
そう叫んでいるのは、私の前の席にいる友達麻原凛音。
明るい性格でとにかく優しい。
「いつかは、できるよ。」
恋人など私にはいらない。
私は、本気で恋をして辛い思いをしたことがある。
だから、恋など絶対にしないと心に誓った。
「美百合ってさ、彼氏ほしいって思ったことないの?」
「ないよ。」
「本ばっかり読んでてさ〜、本が恋人だったりして〜笑」
「そうだね。本が恋人だよ。」
「そんなのつまんない〜!」
全く。なにがつまんないんだか。
そんなにほしかったら合コンとか行けばいいのに。凛音ならすぐ彼氏できると思うんだけどな。
「雪村〜、1年が呼んでるぞ〜」
クラスの男子に呼ばれた。
えっ…。誰だろう…。私、部活入ってないから後輩とかいないんだけど…。
廊下に行ってみると美少年が立っていた。
そういえば、1年にすごい美形な男子がきたとか言ってたっけ。
たしかにすごい顔がものすごく整ってる。
目が離せないくらい。
「先輩、少しお時間いいですか?」
その子は、顔を真っ赤にしてそう言った。
「うん。いいよ。」
連れて来られたのは、校舎裏。
「どうしたの?なにか私に用でも…。」
「俺、1年A組の草花凛刀です。俺、雪村先輩のことが好きです。俺と付き合って下さい!」
「えっ…。」
あまりにも、いきなりだったので一瞬固まってしまった。
けれど、
「ごめんなさい。今は、彼氏とかいらないから。」
当然、お断りした。
「でもっ、俺…。諦めません!先輩に好きになってもらえるように頑張ります!」
顔を真っ赤にしてそう言うと美少年は、走って行ってしまった。
私は、走っていく美少年の背中を見届けていた。