中2になった葵は夏休みをゴロゴロして過ごしていた。
アイスを口に加えると扇風機がきいた和室に仰向けにして寝っ転がり、目を閉じながらただただ頭を空っぽにしてセミや風鈴の音を聞いて過ごすのだ。葵にはそれが定番となっていた。今日も同じようにして過ごしていると洗濯物を運んできたお母さんが言った。
「ちょっと葵ー。ゴロゴロしてるなら手伝ってよー。」
お母さんは扇風機の電源を消し、洗濯物を畳み始めた。
「ちょ!何するのよ!暑いじゃない!」
「もーさー。そんなに暇ならおばあちゃん家にでも行けばー?」
葵はガバッと起き上がりお母さんに怒鳴った。
「嫌よ!あんなところ!何もなくてつまんない!」
お母さんはふぅーとため息をつくと言った。
「あそこ、いいところよー?海も綺麗だし…」
お母さんは思い出しながらいった。
「と・に・か・く!私はそんなところ行かないからね!」
そういうと葵は走って自分の部屋に戻った。葵にはおばあちゃん家は「退屈な場所」と考えていたので絶対に行きたくない場所だったのだ。
しばらくゲームをしていたが、ふとお母さんの言葉を思い出した。
「ふーん。おばあちゃん家かぁ。普段そんな話はしなかったからどんなとことかあんまり聞いてないなー。よし!」
葵は立ち上がり、少しでも話を聞いてみようと思った。
「お母さーん!おばあちゃん家について詳しくどんなところか教えて!」