夏の暑さも大分マシになり、涼しく過ごせる環境になった9月下旬。
来年に高校生になる私は、受験する学校見学会の帰り道を歩いていた。

もうすぐ10月になるのにまだまだ日は長いなぁ〜と考えていたら

「そこの君〜、1人?1人だよね?これから俺と遊びに行かない?」

……うわぁ、最悪…。面倒な事になる前に…。
見るからにチャラチャラしてる…。

「…すいませんが、急いでいるので…。」

「いいじゃん!いいじゃん!ね?ね?」

グイグイと腕を引っ張られて、逃がすまいと強く手首を握られる。

「……っ、い、痛い…」

あまりの痛みに声に出した、そのとき

一瞬に掴まれていた手が離された、その視界に目を見開いた。

「こんな道なかで、何してんの?」

「あ?なんだアンタ」

「…あ、あの…助けて下さい!」

「…………」

ドカッと鈍い音が鳴り、チャラ男はその場でふらついたが、

「お前、覚えてろよ!」

と言って、走っていた。


「…ふぅ…アンタ、無事?」

「あ、はい、ありがとうございます」

「別に、じゃあ」


あ、名前聞いてないや、お礼もしないととその人が居た方向を見ると

…あれ!?もう居ない!