ran side
今日は悠真が家に誘ってきた。
「おじゃましまーす」
「誰もいねーよ」
ケラケラ笑いながら出迎えてくれる悠真はいつも通りで。
「お母さんもお父さんもお仕事か」
「そーゆー事だ。ま、俺の部屋で待ってて」
茶ぐらい入れてやんよ。って、、もう。
「ゆー、、」
「蘭!シュークリームあんぞ!」
「食べるに決まってる!!」
悠真が部屋に入ってきて。
他愛のない話をして。
シュークリーム食べて。
「美味しかったー」
「だな」
「あ、口にクリーム」
ん、取って。と悠真。
いくら幼馴染みだと言っても、少し照れる。
「、、はい、取れたよ」
「どーもどーも」
少しの間、沈黙。
「なぁ」
悠真が急に話し出した。
「ん?なに?」
「優成君、だっけ?」
「、、そう」
「もう、諦めろよ」
え?
「だって彼女さんもいるんだろ?」
「そ、そうだけど、、」
「別れそうにもねえんだろ?」
悠真、、。
「男なんかどこでも転がってるんだしよ」
「悠真」
「なんで優成君にこだわんだよ!!」
「悠真!」
どうしちゃったの、、?
「落ち着こ、ね?」
「こんなに、、なのに」
「ん?なんて?」
それからしばらく悠真は黙っていた。
落ち着くまで悠真の傍にいた方がいいのか。
1人にしてあげた方がいいのか。
うちには判断出来なかった。
なんでこんなに取り乱してるのかも、うちの言葉を受け入れてくれないのかも、何1つ分からなくて。
引き金となったのは、、優成君だろう。
ただ、なんで優成君が悠真の混乱の材料になったのかは想像もつかないくらい分からない。
、、本当に悠真がうちの事を好きだとしたら?
そしたら全てに筋が通る。
けどうちは悠真に優成君が好きって伝えてある。
、、だから?
だからなの?
どうすることも出来ないから?
じゃあうちはどうすればいい?
どの判断が1番正しいの?
「蘭は、、どう動いたら正しい、、?」
は、、っ。
呟いてしまった。
もちろん悠真にも聞こえていたわけで。
「蘭、、っ。もう」
『忘れていいよ』
きっと悠真ならそう言っただろう。
だけどそれじゃ悠真が我慢するだけだ。
悠真の手をギュッと握って、
「悠真が落ち着くまで傍にいるよ」
うちに出来る最大限の事をしようと思う。

yuma side
最低だ。
ただそれだけ。
ただそれだけの一言がすごく重い。
蘭にあんな事言わせて、させて。
意気地無しにも程がある。
あの後蘭は本当に俺が落ち着くまで傍に居てくれて。
礼を言って帰らせたけど、明日の朝はどうしよう。
また、変わらず起こしに来てくれんのかな。
蘭の事だからいつも通りの塩対応で来てくれるんだろう。
分かっているから尚更辛い。
好きな女にあんな事言って。
許されるとは思ってない。
でも吐き出す場所が無くて。
だから本人に伝えるしかなくて。
伝えたら傷つけるって分かってんのに。
俺の頭は小学生以下だ。
考えたらわかる問題だらけ。
そんな事を考えてたら眠りについていた。
夢を見た。
蘭が優成君と仲良くなってる夢。
麻由子ちゃんとはどうなったんだ。
どうやら別れたらしい。
優成君は今から告白するらしい。
どうにかして止めに行かねえと。
蘭、、らんっ。
「、、ま?悠真??」
はっ、、。
「蘭、、?優成君は、、」
「えっと、、優成君?」
はー、、学校かな?
と当たり前じゃんみたいな顔して答えられた。
「悠真、お休みしようか」
「蘭っ行くな、傍に」
「いるよ」
え?
「うちも休むよ」
「でも、授業」
蘭が急に笑い出した。
「はー、、おっかしー。さっきまで蘭っ行くなって言ってたのに。うなされてた人をほっていけないよ」
「っせーな」
俺なりの照れ隠し。
けど蘭は分かってくれている。
、、多分。
「蘭ちゃーん」
「はーい!」
「私、悠真置いて家空けるけどいいかしらー?」
「悠真は任せてください!お仕事行ってらっしゃい!」
「任せるわ!ありがとうー」
母親が出ていった。
仕事か、、ご苦労なこった。
「さあ悠真君、寝てようか」
「え」
「当たり前でしょー?何のために休んだと思ってんの」
「、、蘭特製風邪がとてつもなく早く治るお粥作ってきてください」
「なにそれ」
とにかく蘭が作った何かを食べたい。
ただ体がだるいからお粥くらいしか食えねえ。
あ、でも。
「蘭」
「お粥さん作ってきてあげるから、待ってて?」
「無理」
「無理って、、食べなきゃ、ひゃ?!」
蘭の、、ぬくもりが欲しい。
ギュッ、、。
「悠真?どした?」
指を絡めて。
「ゆ、ゆーま?」
左腕は腰に回し。
「ね、ねね熱が上がってきたのかな?」
「蘭、、」
キスを、