朝起きると、隣にはお兄ちゃんの姿はどこにもなくて。
うっすらとお兄ちゃんのシャンプーの匂いが残っていた。
………夢、だったのかな?
まあ、そうだよね。
あのお兄ちゃんが、あんなに優しくなる訳ない。
「起きろ、馬鹿」
突然声がしたと思ったら、ハシゴの下にお兄ちゃんがいて、
「よく、寝れた?」
なんて、勝ち誇った顔をするから、理解するのに時間がかかったけど、
………一緒に寝たのかも。
「何、人の顔見てんの?金とるよ?」
真剣に考えてたあたしが馬鹿みたい。
どんだけ自分の顔に自信があるのよ。
「つか、マジで遅刻するから早く起きて?」
あ、そういえば、お兄ちゃん制服だ。
「ん、今何時?」
あたしは朝に果てしなく弱い。
すぐに二度寝してしてしまう。
「8時」
………。
「遅刻だーっ!!」
そのあと、学校で先生に兄妹揃って散々怒られたのは、
いうまでもないです。

