ベットから降りて、外に出る準備をし始めた駿君。


あたし…。

あたし………。


お兄ちゃんがいる部屋に帰りたくないんだ。





あたしは、駿君の背中に、小さくきゅっと抱きついた。





「か、茅音?」





少し焦っているようだったけど、
気にしないで抱きついた腕の力を少しだけ強くした。





「駿君、あたしやっぱり泊まってっちゃ、ダメ?」


「や、でも…。」


「そういうの無しで、さ。
あたし、帰りたくないの。」



お兄ちゃんがいるところには。




それは言えない。

心のなかでつぶやいた。





「なんか、あったの?」


「………ないよ。……だから、いい?」


「……うん。頑張ってみる」





顔をこっちに向けて、駿君は苦笑いをした。

悪いこと、したよね。

ごめんね…?駿君。