「そう、なんだー。よか、たね……」
親友の恋が実った。
本当なら嬉しいことなのに、
喜ばなくちゃいけないのに…っ
なぜか祝福できなくて、
耐えられなくて、
「じ、じゃあ、あたしは先に行くね!まきえにも悪いしさぁー」
今のは絶対に笑えてなかった気がする。
早く学校に行こう。
なぜか今は気まずい。
「待って。」
お兄ちゃんに手首を捕まれた。
突然のことでびっくりしたあたしは思わず振り払った。
「あ……、ごめん」
お兄ちゃんは俯きかげんで前髪が顔にかかってて、
表情が見えない。
怒ってるかも……
「今日は、一緒に学校行こ」
顔を上げたお兄ちゃん、
弱々しそうに笑ってた。
お兄ちゃんを苦しめてるのは、
あたしなんだ。