「……ごめん」
どうして、謝るの?
お兄ちゃんは、後悔してるの?
「……カ…」
カズと言いそうになってしまった、あたし。
ダメだ。
言っちゃ。
カズという言葉に現実に引き戻された気がした。
あたしはカズとはもう呼ばない。
そう決めたんだ。
「……学校、行こっか。」
手首はまだ捕まれたままで。
だけど、お兄ちゃんが離してくれることはなぜかしっていて。
あたし、笑えてたかな?
もしかしたら引きつってたかもしれない。
「ああ」
お兄ちゃんはゆっくり、
あたしの手首を離した。
そのあとすぐにお兄ちゃんは部屋を出ていった。
お兄ちゃんの足音が小さくなったあと、
あたしは自分の少し赤くなった手首をみた。
お兄ちゃん…。
ごめんね…。
あたしはそっと
手首にキスをした。